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V系キタコレ!

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「シビレバシルが僕の夢でした」シビレバシル最終単独劇場『僕らはいつか灰になる』ライブレポート

キタコレポート

「シビレバシルが僕の夢でした」シビレバシル最終単独劇場『僕らはいつか灰になる』ライブレポート
volume
19966

2018年3月29日(木)、新宿BLAZEにてシビレバシルの最終単独劇場『僕らはいつか灰になる』が開催された。寂しくも現実的なタイトルのつけられたこの日がついに来てしまった。6年間、過去にはメンバーチェンジもありつつ様々な変化をし遂げ歩んできた道が、今日、途絶えて灰になってしまう。

開演時刻になった。キィキィとブランコの音が鳴り響く中、幕が開く。トップナンバーは「ブランコ」。イントロのベースが地から這い上がってくるように体内にこだまする。直立不動で歌うVo.和泉。Gu.maryaが美しいギターソロを奏でる。しばしの間、しっかりと前を見据えていた和泉だが、やがて、身を乗り出して溢れる感情の限りを歌い上げた。キィキィと響くブランコの音で〆られた。それはまるで悲痛な叫びのようだった。

END

突然、勢いよくスモークが吹き上げ「美しき虚無の夢」へ。フロアは折りたたみ(身体を前後に揺らす)をしたり、拳を振り上げたりと激しく身体を動かす。絶望と希望が隣り合わせのバンド、それがシビレバシルだ。

絶望感が最高潮に達したまま「本能」へ。拡声器を手に「気まぐれを許して」と、どこかで聞いたことのあるフレーズを歌う。痙攣するよう叫ぶ和泉。フロアは後ろの方までヘドバンの嵐だ。「ゲシュタルト崩壊〜」という不気味な声で始まったのは「絶望ララバイ」。目をひん剥きながら和泉が怪しく舞う。

END

「新宿! ぶっ飛ばしていけるかー! かかってこーい!」

和泉の煽りにフロアはさらにヒートアップ。良い意味でどんどんぶっ壊れていくセトリ。「脳内ブラック・ドール」では「腐った僕を消去してください」と、垂れ流す。マゾヒスティック気味とも捉えられそうだが、この絶望感が最高に心地よい。そして、いつものお決まり「ゴミ人間! ゴミ人間!」という「ゴミ人間コール」が始まった。

「今日は中途半端な気持ちで最後を迎えることはありません。ゴミ人間コールも何回聞いたことかわからんけどね。そんなゴミ人間コールも最後です。声出してくれないとゴミ人間コールで解散したバンドってことになるからね!」(和泉)

END

和泉がゴミ人間コールを要求すると、一気にコールが大きくなった。コールからそのまま「ゴミ人間発狂カリキュラム」へ。左右にモッシュが起こる。テンションが上がった和泉はステージ上で2度も前転したり、マイクスタンドに付けていたティッシュを撒き散らしたりと、はっちゃけまくる。時おりBa.ユウトに絡みにいく姿も愛らしい。

END

ここからは一気にフロアが80年代風ディスコへ。ミラーボールが周り、和泉がジュリ扇を振る「GOKUMI」。ギターソロではフロアが全員座り込み、maryaのターン! 和泉がユウトにマイクを向けると「BLAZE楽しい!」とユウト。肩を揺らす振り付けのある「肩パッド」では和泉が白目をむきながらコミカルに肩を揺らしたり、前転をしながらラップをしたりと、先ほどまでの絶望感あふれる曲とは対照的に、ユーモアな一面のシビレバシルが咲き乱れる。

END

ひとしきり暴れた後、雨音が響き青い照明が光る。胸を締め付けられるようなギターのイントロで始まったのは「未練の雨」。和泉が身体全体を使って切なさを表現する。 透明感のあるオルゴール風のイントロに、一瞬何の曲だと思ったところで、太く妖しげな声で「絶望とにらめっこしよう!」と和泉が叫んだ。「存在抹消−生き地獄の人生ゲーム−」だ。バラードが続き、おとなしくなっていたフロアは再びヘドバンと拳、逆ダイが入り乱れる。シビレバシルお得意の絶望タイムがまたやって来た。

END

「存在抹消−生き地獄の人生ゲーム−」から流れるようにドラムのreiがリズムを刻み、ユウトとmaryaがフロアに手拍子を要求する。和泉はポリバケツをお立ち台代わりにフロアを見下ろし、コール&レスポンス。
和泉「中野を愛して憎んで♪」
フロア「中野を愛して憎んで♪」
和泉「そんなんじゃダメだよ、もっと汚い声で! なんでそんなに口が小さいの! もっと! これをやるまで帰さないよ!」
コミカルな動きとギャグでコール&レスポンスを要求した後、うねるようなギターのイントロが特徴的な「中野駅北口パラサイト」へ。続く「人生はマンネリだ」でも、大きく身体を動かしながら「変なおじさん」のダンスを披露する和泉。暴れ過ぎてすぐにマイクスタンドが倒れるため、しょっちゅうスタッフさんが戻しにくるのも、彼らのボルテージが上がっている証だ。

END

エログロさが際立つ「ABNORMAL SECRET—性癖隠し−」では、タンクトップを半分めくって乳首をまさぐり、股間をさすりながらエロティックな歌詞を口にする。エログロな世界観に酔いしれながらも激しくヘドバンをかますフロア。そして、シビレバシルらしい太いギターの音が支配する「二重人格」へ。歌詞を一つ一つ噛みしめるよう、顔をぐちゃぐちゃにして歌う和泉。数年前のライブで和泉がこの曲を「大切な曲です」と紹介していたのを思い出した。

END

「シビレバシルは今日、2018年3月29日の新宿BLAZEで解散します。僕はずっとシビレバシルを続けてきて、いろんな気持ちを、いろんな苦しかったこととか楽しかったこととか、もうやめたいなと思ったこととかもあって、今日最後を迎えることになりました。最後、何か残したくて、思いっきり心をこめてこの曲をやりたいと思います」 言葉を振り絞る和泉。ライブはもう後半戦。彼らがシビレバシルでいられる時間、フロアがシビレバシルと共にいられる時間は残りわずかだ。

END

「最後、全員の声をきかせてくれるかー! かかってこーい!」

和泉の煽りでとうとうラストの曲「マネキン世界」。和泉は「夢、希望、自由、愛情、僕には何一つつかむことができません」とセリフを放ったが、今、シビレバシルは夢と希望と自由と愛情、全てを兼ね備えた「シビレバシル」という存在をつかむことができたのではないだろうか。和泉が緑の液体を顔に塗りたくる。そして、フロアに向かってダイブ! ステージ上の和泉は感情の塊だ。

END

ふと、演奏が止まった。メンバー全員、うつむいて涙をこらえている。

「今になってもまだ実感していなくて、この光景を見たら、まだこれが終わりという感覚にならなくて、まだまだここで歌いたいなって……思います」

和泉が涙で声をつまらせながらそう話すと、フロアのあちこちからすすり泣きと嗚咽が聞こえた。

「シビレバシルを始めて6年間、ずっと夢を見ているようでした。この4人で活動してきて、シビレバシルが僕の夢でした。夢を見させてくれてありがとうございました! 今までありがとうございました!」(和泉)

END

やがて間奏のギター始まった。和泉が最後の力を振り絞る。「いつかは灰になる」という歌詞が解散を意味していることはみんな分かっている。でも、そんな悲しいことを考えたくない。あと少しだけ、彼らと一緒にいたい。

「悔しいことや悲しいこともあったけど、僕はこんな最後を迎えられて本当に幸せ者です。居場所をくれてありがとう!」

曲の終わりに和泉が叫んだ。

4人がはけると、すぐにアンコールの声が上がる。しばらくするとシンバルの音が響き、幕が開いった。ゴミ人間Tシャツ姿のメンバーが再びステージに現れた。アンコールはポップで爽やかな曲「サガシモノ」。明るいメロディラインに、しんみりとした歌詞が染み入る。

END

「今回、曲数は多かったけど一瞬だった」と和泉。どのメンバーも涙ながらに最後のあいさつをした。

「あっという間に終わっちゃったね。シビレバシルは生活の一部だったわけですわ。全部が当たり前なわけですよ。この4人と一緒に常にいて、ライブだってみんなで肩を揺らしたり、緑まみれの顔とか、下ネタ混じりのコール&レスポンスとか、全部が当たり前だったことが今日終わっちゃうと思うと寂しいけどね。今日の記憶や今までのライブの記憶、音源は心の中にありつづけると思うので、つらいことがあったときは、楽しかったライブを思い出してもらえたらうれしいなと思います。ありがとうございました」(rei)

END

「今でも『楽しい』しか感情がなくて、終わるという実感がないし、いつ実感するんやろうな、というところです。実感がない中でも、頭では解散すると分かっていました。僕とreiちゃんが加入して5年、みんなに応援されながら暮らしていて、それがなくなっちゃうのが寂しいなという気持ちでBLAZEに来ました。この先の人生どんな道を歩くかわからんけど、何をやるにしても今感じている感謝の気持ちとか満足感・充実感を求めて生きていきたいなと思います。今見ている光景は、この先の人生越えなきゃいけない目標としてずっと忘れずにいたいなと思います」(ユウト)

END

「あらためて言うのはちょっと恥ずかしいけど、reiちゃん、まーやん、シビレバシルに誘ってくれたたかぴ。いたらないベースだったかもしれないけど、楽しい5年間を過ごさせてくれてありがとう。感謝してます。もちろん、今日集まってくれたみんなにも言葉ではどう表現したらいいのかわからないけど、ありがとうございます」(ユウト)

END

「僕はシビレバシルの結成時からいるメンバーです。シビレバシルというバンドの名前はたかちゃんが決めてくれて、最初はパンチがある名前だな、何だこれ? と思ったのが、シビレバシルの可能性かなと思って信じてやってきました。僕が知る限りでは、おそらくこのメンバーは、たかちゃんがやりたいっていって集めたメンバーなんですよ。僕の記憶が間違っていなければ、結成当時、他に候補のギタリストがいたのに、僕の曲を聴いてくれた瞬間、やりたいって誘ってくれたんです」(marya)

END

「僕はシビレバシルで主に曲作りをやらせてもらったのですが、僕一人で作ったとは思っていません。どんなときでも冷静な判断でジャッジをしてくれるreiちゃん。納得するまで話し合わないと気が済まないけど、ちゃんと細かくしてくれるユウト君、そして、いろいろ苦労もあったけど、落ち込んだときも、『絶対に俺らが一番カッコイイから大丈夫だよ』と言ってくれるたかちゃん。このメンバーが支えてくれたからたくさん曲を作れたと思っています。ありがとうございます。そしてここに集まってくれたみなさん、ありがとうございました」(marya)

END

「最後、一緒に歌えたら歌ってください!」と和泉。

これが本当の本当に最後だ。アンコールラストの曲は「赤い空にチェンソー」。和泉がアカペラで出だしを歌うと、フロアがその先を大合唱で続ける。勢いよくドラムが飛び出しイントロが始まった。泣きながらヘドバンをするフロア。「僕には羽が生えていると思っていました」という歌詞が胸に刺さる。シビレバシルには羽など生えておらず、飛べることなく灰になる。しかし、サラサラとした綺麗な灰ならば、風にあおられて飛んでいくことはできる。

END

オルゴールVer.の「マネキン世界」が流れるなか、メンバーがステージを去っていく。シビレバシルは最高にカッコよく灰と化していった。結成当時のオリジナルメンバーである和泉とmaryaがしっかりとハグをする。誰だっていつかは灰になる。和泉は「シビレバシルは僕の夢でした」と語ったが、ファンにとってもまた夢だったはずだ。そんな夢が灰と化すのを見届けられたことは、悲しみと幸せ、両方を得られた夢のような一夜だった。夢であってほしい一夜だった。

END

■セットリスト
1.ブランコ
2.美しき虚無の夢
3.本能
4.絶望ララバイ
5.脳内ブラック・ドール
−ゴミ人間コール−
6.ゴミ人間発狂カリキュラム
7.GOKUMI
8.肩パッド
−雨音−
9.未練の雨
10.lost endroll

END

11.存在抹消−生き地獄の人生ゲーム−
−コール&レスポンス−
12.中野駅北口パラサイト
13.人生はマンネリだ
14.軍手
15.過ちの金曜日
16.ABNOMAL SECRET−性癖隠し−
17.二重人格
18.マネキン世界
EN1 サガシモノ
EN2 赤い空にチェンソー

END

シビレバシル
2012年結成。Vo.和泉のユニークなキャラクターとインパクトのあるパフォーマンスが特徴的なバンド。2018年3月29日、新宿BLAZEでラストライブを行い解散。

取材・文 姫野桂
撮影・やわらかゆーすけ

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