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    volume 20067
  •     伝説のゲストハウスは健在! インド・バラナシ「久美子ハウス」
    伝説のゲストハウスは健在! インド・バラナシ「久美子ハウス」
    久美子ハウス 元祖日本人宿は今
  •     田中 元

    インドは東西南北いたるところ聖地だらけだが、中でも聖地中の聖地といえるのがバラナシだ。ベナレス、バナーラス、ワーラーナシーなどの呼び方もあるが、当記事では旅行者に最も通りのいいバラナシで統一させていただく。バラナシは国中から宗教宗派を超えて人々が集まり、朝から晩までガンジス川で沐浴したり礼拝したり、葬儀や火葬も行われている、メディアで目にするインドのイメージを凝縮したようなカオスな町だ。

  •     田中 元

    バラナシへやってくる人々はインドからだけではない。カオスなインドを求め、世界中から旅行者もひっきりなしにやってくる。おかげでガンジス川から一本入った路地には、外国人旅行者向けに英語表記の看板を掲げたレストランや産物屋、そしてホテルがぎっしりびっしり立ち並ぶ。

  •     田中 元

    ホテルは高級中級も多数あるが、特にガンジス川付近で目に入ってくるものの大半は、バックパッカーを対象とした安宿、いわゆるゲストハウスの類だ。有名どころも多々あるが、日本人旅行者にとってぶっちぎりで有名なところといえば、それはもう「久美子ハウス」をおいて他にないだろう。荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』にも(名前だけだが)登場する、あのゲストハウスである。

  •     田中 元

    なかなかに広い町バラナシにあって、久美子ハウスはガンジス川沿い。写真は久美子ハウスの屋上から撮影したものだが、上流から下流までを一望できる最高の立地だ。今でこそガンジス川沿いのホテルは多数存在するのだが、久美子ハウス開業当時はそんな宿は他にほぼ存在しなかったという。数十年前のバラナシのガンジス川沿いは犯罪多発地帯であり、そんなところにホテルを作るなんてとんでもないと関係者から反対すらされたほどなのだという。

  •     田中 元

    そんな反対意見を押し切って久美子ハウスをオープンしたのが、ようやく登場、久美子さん。後ろに掲げられた写真の男性・シャンティさんが四十年ほど前の日本留学中に久美子さんと知り合い結婚。渡印して数年後、久美子ハウスを開業したのである。その後、久美子ハウスを真似するかのように川沿いに安宿が乱立。先見の明ばっちりだったわけである。なお、シャンティさんは宿の名物親父として旅行者に人気を博していた人物だが、残念ながら昨年逝去。しかし久美子さんは今も変わらず元気に宿を切り盛り中だ。

  •     田中 元

    こちらは旅行者がたむろする、久美子ハウス3階ドミトリーの一角。老若男女関係なく雑魚寝状態のフロアだが、その分2018年現在で一晩100ルピー(約180円)と激安! 記者が以前宿泊した21年前は日本人ばっかり数十名がすし詰め状態だったが、近年は日本人旅行者が減少、代わりに欧米や中国、韓国からの旅行者が増加している。英語ペラペラな日本人客もたいてい一人ぐらい泊まっているので、うまいこと通訳を頼んで国際交流に励むのもいいだろう。

  •     田中 元

    といいつつ記者が宿泊したのは2階の個室。こちらは一泊400ルピーとドミトリーに比べてお高めだが、それでも日本円で約720円。しかも扉を開けば昼夜を問わずにベランダ越しにガンジス川をいつでも拝める素晴らしさ。ベッドの上にiPhoneが置いてあることからもお分かりの通り、無料Wi-Fiも利用可能だ。至れり尽くせり!

  •     田中 元

    朝食サービスがあるのも久美子ハウスの魅力。毎朝8時過ぎに1階からお手伝いさんの大声で案内があり、希望者は1階に降りてバイキング形式で腹いっぱい食べられる。一食100ルピー。かつては夜7時頃に夕飯もあったはず、と思い起こされる方もいるだろうが、現在は朝食のみ。先に書いたようにかつてこの辺りは犯罪多発地帯であり、夕飯は宿泊客を守るための門限を兼ねていたのだが、現在は治安が良くなったため、朝食のみにしたとのこと。門限も22時に伸びた。

  •     田中 元

    実は久美子ハウスはバラナシにもう一軒存在する。路地を歩いてやってくると、そのもう一軒を先に見つけることだろう。こちらは2005年にオープンした、通称「ニュー久美子」。管理するのは久美子さんとシャンティさんの息子・尊明くんだ。ドミトリーはなく全室個室。ガンジス川沿いではないという立地条件により一泊300ルピー。どちらに宿泊するかは、自分の希望および部屋の空き状況で。元祖久美子ハウスには先ほどの写真に写っていたパグがいるが、ニュー久美子には人懐っこい大型犬がいるので、犬の好みで判断してもいいかもしれない。なお、ゆくゆくは元祖久美子ハウスを尊明くんが継ぐ予定。

  •     田中 元

    我々がイメージするインドのカオスがほぼ全て、無造作にそこら中に転がっているバラナシは、一度魅了されたらどれだけいても飽きることがない。長期滞在するなら気楽で安いところが一番。もちろん好みは人それぞれだし、宿泊先の選択肢も異常に多いのもこの町の魅力といえるが、もはや伝説ともいえる久美子ハウスも一度は利用してみよう。ついつい長居しちゃうのみならず、記者のように久美子さんに毎日お使いを頼まれたりするようになるかもしれないぞ!